STORY3【料理人になるきっかけ】
私は、7歳から始めたバレエで、本気でプロになりたかった。
自分で意識していない頃から食事制限をしてきたと思う。
固形物をほとんど取らなかったせいで、あごが発達してなく、咀嚼をすることもほぼなかったので、噛めるようになったのは20歳ごろからである。
知っている方も多いと思うが、一般的にバレエはお金のかかる習い事。
15歳から始めた初めてのアルバイトは喫茶店だった。
小さいながら初めての社会に戸惑い
お金をもらうためには、ちゃんとしなければと新鮮なプレッシャーを感じた。
私がバレエにのめり込んだ理由の一つに、言葉で表現しなくていいということがある。
話すのは本当に苦手で、自分の考えていることを伝えるのに苦労した。
相手の顔色やどういう状況なんだろうと考えてしまうと、頭がぐるぐるして言葉が出なくなる。
なので、アルバイト先の方々とコミュニケーションは大きな課題だった。
でもいつも関わる人に優しくしたいと思っていた。
それからコンビニなどで働き、
大学生の時、地元にある中華料理店で接客サービスのアルバイトをする
この時もまだまだバレエダンサーを目指していた。
今思えば、私が料理の素晴らしさを知ったのがこのお店だった。
料理長が元はフランス料理出身の腕利きの料理人。
普段は普通の方だったが、
仕事に対してはものすごく厳しかった。
お客様に対しての姿勢も部下に対しても、妥協を許さない。
プロフェッショナルという言葉がぴたりと当てはまる。
彼の料理に対しての本気、向き合う姿勢で、私は当時サービス係だったが、調理の仕事の素晴らしさを知った。
情熱のある仕事人に出会うことができて、私は新しい刺激を受けた。
当時には、わからなかったことだが、私はここで働いたことで、料理人の道のきっかけを得たことは間違いない。
何がその人の人生をつくるかわからないものだ。
人生を自分で切り開いていく、そのきっかけは、
自分が歩んできた小さな出来事であることだったりする。
これからもそれを見逃さずに生きていきたい。
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